〜Webサイト制作・開発は進捗管理ツールを活用しよう!〜 PM・ディレクション初心者のためのBacklog活用法【プロジェクト開始編】
目次
Webサイト制作・開発プロジェクトには、タスクの進捗状況を把握できるプロジェクト管理ツールが必要ですよね。INIでは、全てのプロジェクトでBacklogを活用し、プロジェクトマネプロジェクトマネージャー(PM)やWebディレクターがプロジェクトの進捗管理を行っています。
駆け出しのPMやWebディレクター初心者の方は、プロジェクト管理ツールを使えば簡単にチームメンバーが動いてくれると期待していませんか?
タスク管理ツール任せでは、チームメンバーが計画通りに動いてくれず困ってしまう状況が往々にして発生します。
今回のINI WAYでは、PM/ディレクターの前原が、初心者向けに、長年培ってきたINIのノウハウをもとにしたBacklog活用のポイントをご紹介します。
プロジェクト管理ツールは便利ですが、機能が多く不安に感じてしまうのではないでしょうか。また、チームのコミュニケーションをどうやって円滑にするかも気になるポイントですよね。さらに、締切が迫ってくるとプレッシャーもかかりますし、チーム全体で効率的に進めていくためのコツを知りたいですよね。
もし今、タスクが山積みで優先順位が不明確で、プロジェクトの進捗状況が混沌としている方は、この記事をぜひ参考にしてください。Backlogを効果的に活用して、プロジェクトがスムーズに進行できるようになることをお手伝いできれば光栄です!
チケット起票時のコツ
プロジェクトが始まると、INIでは「プロジェクト計画フェーズ」からBacklogが早速活躍します。この記事の前編では、チケット登録(※)時のポイントをINIの実践をもとに解説していきます。
※タスクを登録することは、「チケットを起票する」や「課題を起票する」という表現を使います。「チケット」とはプロジェクト管理ソフトウェアで使われる用語で、タスク管理ツールの1単位のことを指します。
タスクを細分化してチケットを起票する
課題一覧例
プロジェクトをスムーズに進行するには、チームメンバーが「いつまでに、何を実行しないといけないか」を認識できることが必要です。
チケットを起票する際には、タスクを割り当てられたメンバーが「いつまでに、何を実行しないといけないか」を認識できる内容になっているかタスクの粒度に留意する必要があります。
タスク粒度が大きすぎると、何をすればよいかわからないチケットになってしまいがちです。
例えば、「新しい企画を出す」というタスクは粒度が大きすぎると言えます。タスク内容が具体的ではないため、着手のハードルが高く、進行が滞ってしまうリスクがあります。また、粒度が大きすぎると工数の見積もり精度も落ちるため、正しく期限を設定することもできないでしょう。
そこで、チケット起票のベースとして使えるのがWBSです。
INIでは、プロジェクトの営業フェーズまたは計画フェーズにおいて作成したWBSをベースにBacklogへチケットを登録しています。
WBSについては今後別の記事で解説する予定ですが、WBSはMECE(※)に作られていることが必要です。
※WBS(Work Breakdown Structure)とは、プロジェクトの全体の作業を分解し、それぞれの作業を構造化して表示する手法です。
※MECE(ミーシー) 漏れなく、ダブりがないこと
こうして作成されたWBSをベースに、チケットを起票してあげるとよいでしょう。
チケット起票タイミングを管理する
前項の「タスクを細分化してチケットを起票する」で起こりうる問題に、「チケットが増えすぎてしまう」ことがあります。
小規模プロジェクトでは、プロジェクト開始時にWBS上のすべてのタスクをチケットに起票しても問題にはならないでしょう。しかし、中〜大規模のプロジェクトになると、プロジェクトを達成するための作業タスクが多く起票したチケットが膨大な数になることもあります。
チケットの数が増えると、「今取り組むべきチケットはどれか」をチームメンバーが一目で判断することが難しくなります。Backlogの場合1ページに表示されるチケットの数は20件までです。すなわち、21件以上のタスクが存在する場合、ページを送らなければすべてのタスクを見ることができなくなります。
この問題の解決策の1つとして挙げられるのが、起票タイミングを管理することです。
すなわち、プロジェクト開始時にすべてのタスクを起票せずに、あらかじめ定義した起票タイミングに合わせて起票します。
例えば、
- プロジェクトを前半・後半フェーズに分け、フェーズごとにタスクを起票する
- タスク開始日の2~3週間前にまとめて起票する
等です。
プロジェクトは進むにつれて要件や前提条件が変化し、プロジェクトの初期段階で起票されたタスクが時が経つにつれ古くなったり、不要になったりすることがあります。このような状況に柔軟に対応できるのも、この手法の利点の一つです。
また、事前に定義した起票タイミングで「チケットを起票する」というアクションも、立派なタスクの一つです。そのため、予め期限を設定したチケットを起票しておくことで、タスクの漏れを防ぐことができるでしょう。
INIでは、多くの場合PMがチケットを起票する役割を担いますが、プロジェクトの規模が大きいケースでは、チケット起票を専任する担当者をアサインし、効率的に起票を行うこともあります。
チケットが増えすぎることへの対策としてよく使われる方法には、マイルストーンやカテゴリの活用、「高度な検索」の利用もあります。これらについては、後編で解説します。
チケットの完了条件を明確にする
プロジェクトの進捗管理において、Backlogを使用すると、チケットの状態が「完了」に変わることにより、プロジェクトの進捗状況を俯瞰的に把握することができます。
しかし、完了条件が明記されていないと、担当者はチケットを完了にして良いのかどうか判断することができません。もしくは個々の判断で勝手に完了にしてしまい、後になって必要なタスクが未完了だったことが判るケースも発生します。
多くのチケットには「何をするべきか」(TODO)が記載されているものの、「どの条件を満たせば完了とみなせるか」(完了条件)が明記されていないケースがしばしば見られるるのではないでしょうか。
例えば、「テスト仕様書を作成する」というタスクの完了条件がなかった場合を考えてみてください。
自分で作成するところまでで完了なのか、レビュアーのレビューを経て修正するところまでが完了なのか、さらにはクライアントへ提出して承認をもらうところまでで完了なのか。プロジェクトの性質や体制によって完了条件は異なりそうです。
チケットを起票する際には、チケットを「完了」とみなすための条件を必ず明記しましょう。
期限設定のコツ
タスク管理のよくある失敗例として挙げられるのが、「期限が過ぎたままチケットを放置してしまい、気が付いたときには本当にやらなければならない期限を過ぎてしまっていた・・・」というパターンではないでしょうか。
こういった失敗を避けるために意識したいポイントがいくつかあります。
実情に合わせて期限を随時更新する
プロジェクトは必ずしも予定通りに進むわけではありません。設定した期限に間に合わないことがあるかもしれません。
しかし、そのような場合でも、期限が切れたままのタスクを放置せず、適切に期限を更新することが非常に重要です。
期限が切れてしまったら、実際に対応が可能な期限に更新しましょう。なお、後続タスクに影響が出る場合は後続チケットの調整も必要になります。
もし、期限を設定したがどうしても期限までに対応できなさそう、対応できないとプロジェクトがまずいことになるといった状況にある場合は、期限設定の問題だけではなく、プロジェクトにリスクが発生している状況と言えます。
PMやWebディレクターは、期限が間に合わないタスクを発見した際には、チケット担当者の状況を確認し、関係者と協力して期限を相談しましょう。
期限を空のままにしない
期限をいつに設定すればよいか判断できず、期限を空のままにしてしまった結果、タスクが未対応のまま残されてしまっていたというケースもあります。
こういった場合には、「期限決定の締め切り」を設定することをおすすめします。期限が不確定なままであることを忘れないように、「期限未定のため仮設定」といった明確な表現で概要やコメントに記載しておくと良いでしょう。例えば、「4/1までに期限再検討」といった記述が役立つでしょう。
Backlogで完結が難しい場合は他のツールも併用する
Backlogの期限管理が苦手な場合、別のタスク管理ツールで自分のタスク期限を管理するという方法があります。
たとえば、最近INIで流行っている方法としてはGoogleカレンダーのタスク機能の併用です。
予定をGoogleカレンダーで管理している場合、おそらく1日に1回は必ずカレンダーを見るため、タスクが漏れることがありません。
また、繰り返しタスクの登録もできるため、定期的に対応が必要なタスクも漏れなく把握することができます。
余談ですが、Backlogでは期限が過ぎたチケットは期限日が赤字になり炎のマークが表示されます。そのため、INIでは期限が切れたタスクを「燃えている」と表現することがあります。
チケット命名のコツ
チケットの命名は会社ごとプロジェクトごとにルールが異なったり、プロジェクトマネージャーの好みによって分かれる部分が多いかと思います。
ここでは、INIでよく使われる命名時のTipsを紹介します。
「◯◯を◯◯する」
プロジェクト名を体言止めで表現してしまうと、チケットの作業イメージが湧きづらくなります。
例えば、「キービジュアル画像」というチケット名について考えてみてください。
これは実際にINIのプロジェクトで見かけた例ですが、キービジュアル画像を制作するチケットなのかと思って確認したところ、キービジュアル画像の素材をクライアントから支給してもらうためのチケットでした。
特に複数メンバーで進行するプロジェクトの場合は、誰が見ても作業イメージが湧くような表現を使いましょう。上記の例で言えば、「キービジュアル画像を支給いただく」という表現が適切ではないでしょうか。
親課題の名前を子課題にも引き継ぐ
Backlogではチケットを親子関係に設定することができます。これは非常に便利な機能ですが、チケット命名方法によっては子チケットの作業イメージが湧きづらくなってしまう場合もあります。
たとえば、以下のような場合です。
Backlogの課題一覧ではデフォルトの表示では親も子も関係なく一覧に並びます。そのため、上記の例で言えば、子チケット単体を見た際に「何の」初稿を提出するチケットなのかわからなくなってしまいます。
こういった場合は、以下のように命名することで子チケットを見ただけでも「デザインの」初稿を提出するチケットなのだと判別することが出来ます。
このテクニックは、親子関係の表現だけではなく、色々なシーンで活用することができます。
タイトルにマイルストーンを含めたり、カテゴリーを含めたり、必要に応じて工夫してみてください。
おわりに
本記事では、プロジェクト管理ツール「Backlog」の初心者でも分かりやすい使い方をご紹介しました!
プロジェクトマネジメントに慣れていない方にとって、何から始めたら良いかわからずに困惑することもありますよね。手軽に活用できるツールであるBacklogは、機能が複雑で戸惑ってしまうかもしれませんが、本記事で解説した「チケット起票時のコツ」を参考にすることで、プロジェクトが効率的に進むと思います。
次回はチケットの運用方法について、より詳細に説明したいと思います。お楽しみに!